黄泉の本屋さん
「でも・・・」
浅葱が付け足すように切り出した。
「奏音さんなら。彼女の視界に入ることはできるかも」
「え?私・・・?でも」
私の事も、見えていないようだけど・・・。
現に、今こうして浅葱と話していても気にならないみたい。
彼女だけじゃなく、ここを通り過ぎる人たちが私たちを一瞥することは一度もなかった。
「言ったでしょう?特殊な状態だって。現世では人の目にも触れるって」
「そうだけど・・・。誰にも見えていないみたいだよ?」
「人の目に触れるには、神の力が必要なんですよ」
「神の力・・・」
「奏音さんは、半分は生きている状態なんだ。だから、奏音さんの生命力を一時的に高めれば、その姿を生きている人にも認識できるようになる。少しの時間だけどね」
少しの時間でも、私が亜紀さんと話が出来れば。
亜紀さんの気持ちを、聞いてあげられるかもしれない。