めんどくさがり系女子の恋愛事情



そのとき


「何してんの、こんなところで。」


凛とした声が聞こえてきた。


「っ…。」


3人が息をのむ気配。

きっと誰かが来るとは思っていなかったんだろう。



そっと目を開けてみると、そこにいたのは黒髪のさわやかイケメンだった。


どこかで見たことある顔。

もしかしたら同じクラスになったことがあるのかもしれない。



「た、高野くん…。

どうしてここに…。」


信じられないという顔でイケメンを凝視する明美さん。


高野、という名前を聞いて思い出した。


今同じクラスの高野くんではないか。


…どうしてここに?と疑問に思うが、それよりも明美さんの顔のほうが気になってしまう。


その顔、写真撮ったらダメかな、めちゃくちゃ面白いんだけど…



「俺は何してんのって聞いてるんだけど?」


さわやかな顔からは想像できない低い声。



「えっと、あの、それは…。」


オロオロしてる明美さんも面白いなあ。

と他人事のように眺めている間にどんどん話が進んでいっていたようだ。




「…ごっ、ごめんなさい!!」


高野くんが何を言ったか知らないが、明美さんは取り巻きを連れて走っていってしまった。



「…。」


「…。」



残された私と高野くんの間で沈黙が続く。


…これはなんか言ったほうがいいのか?


とりあえず、


「あの…ありがとうございました。

わざわざ助けていただいて。」


ぺこりとお辞儀をした。




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