ホワイトデーの奇跡【完】
14歳
私のホワイトデーは
一生思い出したくない
とても、悲しい日になった。
もう二度と、あんな思いをしたくないって思った。
もう二度と、龍平さんに、想いを伝えることが出来ないと思った。
それがこうして、今。
龍平さんの胸の中にいることが……夢のようで。
雪の魔法にかかったように、幸せな時間の中にいた。
「…さくら」
『………は…い』
「目、閉じて」
『えっ?』
「はーやーく!ほらっ」
『…っ』
言われるまま、キュッと目を閉じた。