君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
なんだか申し訳なくなって、自分が情けなくて、ソファに寄りかかって、新庄さんの肩に頭を乗せる。

のぞきこむようにして、新庄さんがキスをくれる。

軽く合わせて離れていった後も、名残惜しくて見つめていると、もう一度くれた。


今度はすぐ離れないように、新庄さんの首に腕を回す。

それが合図になったのか、キスが熱っぽくなったと思ったら深くなって、新庄さんが、持っていた缶をテーブルに置くのを感じた。

私も置いて、両手を回す。


無音の部屋で、無言のキス。


衣擦れの音がやたらと響いて、ちょっと雰囲気がありすぎるな、と戸惑った。

体重をかけられて、ラグに身体を倒す。

新庄さんは、あくまで優しく、キスをくれる。


私の大好きな、新庄さんのキス。

いつだって優しくて、触れる場所から、好きだと言ってくれている気がする。


ふと、身体を離されて、目が合った。

たぶん、同じことを考えてる。



「…また、何かあるんじゃないかって」

「思うよな…」



もう、お互いすっかり疑心暗鬼だ。

疲れたように笑う新庄さんの首をつかまえて、私から軽いキスをすると、ムードだっけな、と笑ってくれた。



「具体的には?」

「好きだって言ってくれるとか」

「好きだよ」

「そういうんじゃなくて」



さらっとオウム返しをされて腹を立てる私を、新庄さんが笑う。

ふ、とその目から笑いが消えて、男の人の顔だ、と思ったら。


本気のキスが来た。

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