君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
腰までしかかかっていない毛布を、そっと胸まで引きあげる。
床に座って、新庄さん、と小さく呼びかけると、目を開けた。


「飲み物、枕元に置きますね。今夜、絵里さんが来てくださるそうです」


了解、ということなのか、何も言わずに、また目を閉じる。

燃えるように熱いのに、汗が出ていない。
まだ熱が上がるのかもしれない。

心配で、ずっと看ていたいけど、私がいたら、気になって休めないんじゃないだろうか。

どうしようかと迷いながら見ている間だけでも、新庄さんは、ひっきりなしに寝返りをうつ。

体勢を変えると、少し楽になるんだろう。
これは、相当につらい証拠だ。

絞ったタオルを頬にあてると、気持ちいいのか、顔を寄せて息をつく。
面を変えて、耳の後ろあたりを拭うと、今度は、いてて、と声を上げた。


(痛みが出てるんだ…)


高熱の時の、関節のきしむような痛みは、私も経験がある。
それほどに、熱が高いんだ。

いくら毎度のことといったって、それで苦痛が軽くなるわけじゃない。

代われるものなら代わりたい。

そう思うくらい、苦しそうで。
きつく目を閉じて眠る様子が、痛々しい。


もうそろそろ、私がいないほうが負担にならないだろうと思って、腰を上げる。

少し汗の出てきたこめかみのあたりをなでて、ごく軽くキスをすると、その手をいきなりつかまれて、驚いた。

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