君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
私の大好きな。
低くて、優しくて、甘い声。

ゆっくりと、重ねるだけのキスをくれる。


「泣くことないだろ…」


新庄さんが、急に戸惑ったような声を出して、私は初めて、自分の目に涙が浮かんでいることに気がついた。
まばたきをすると、こぼれる。

新庄さんが、それを唇で拾ってくれる。
いくつも、いくつも。

首に手を回して、キスをねだる。
新庄さんが、応えてくれる。

甘酸っぱい果実と、少しだけ、煙草と、たぶん歯みがきの味。
それと、新庄さんの体温に溶けて立ちのぼる、せっけんの香り。

そうか、新庄さんは、これを共有したくなったんだ。

煙草の臭いも、香水の香りもない、ただの新庄さんの匂い。
確かにこれは、レアかもしれない。

唇を離すと、涙の名残を指で拭ってくれながら、数えあげるように言う。


「意外とすぐ泣く」
「…何がですか」
「好きなところ」


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