君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)

「緊張してる?」


言われて、ぎくっと身体が震えた。

落ち着かせるように、新庄さんが、髪をなでてくれる。
心細くて、新庄さんの腕をつかむと、その手を優しく握ってくれた。


「俺も、してるよ」


手首の内側に、柔らかくキスを落としてくれる。

腕から、肩に、胸に。
ゆっくりとキスが下りていく。


「…どうして新庄さんが」


腰骨のあたりに口づけていた新庄さんが、さあなあ、と言った。


「どうでもいい相手じゃ、ないからだろ」


そう動く唇を肌に感じて。

ほしい、と。
唐突に自分の中の欲に気づいた。

きっと、もうずっと、私はこの人が、ほしかった。

それは、胸が苦しくなるくらいの激しい、激しい欲望で。
ほしがられるだけじゃ、足りなくて。

この人の、すべてを。
全部、自分のものにしたい。



一滴残らず。







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