軌跡
『体育帽子だけど、
誰か心当たりがあるひとは
いませんか?』
心当たり…あります!!
『先生…あの』
当時あたしの担任だった
手嶋先生という男の先生で、
とても親切な先生だった。
『その帽子、
見せてください』
『はい』
さわり心地とか色の褪せ具合とかで
すぐに分かった。
あたしのだ…。
でも、1つだけ違うところがあった。
名前がない。
というより、
なまえが書いてあったところだけ
はさみで切ってある。
『岡田、何で帽子切ったんだ?』
手嶋先生が不思議そうな顔をしている。
違うよ先生、あたしがやったんじゃないっ…
『先生、
あの…』