東の彦
――――少年が見慣れた部屋で目を覚ました。
純和風な その部屋の窓の障子戸は開け放たれたままで、
雨を降らしきった雨雲の隙間から幾線もの朝日が かれを照らした。
かれが身を起こすと、額に置かれた濡れたタオルが、ずるりとずり落ちる。
そのぬるくなったタオルを拾い上げ、アナログ式の置時計を見ると直に、
五時半を指そうとしているところだった。
着替えた覚えのない寝巻きは汗でしっとりと湿っていた。。
寝巻きにに手を当てつつ、部屋を見渡すと びしょ濡れたっだ筈の
制服は乾かされアイロンが当てられているようだった。
そして微かにかおる醤油のでどころを見れば、まだ湯気の立つおかゆが
机の上に置かれていたが、そこには誰の気配もなかった。
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