麗しき星の花
「騒ぎは起こさないって、言ったよね……？」

「え、ええ、言いました。確かにお約束いたしましたわ。皆様、煩くしてしまってごめんなさいね、もう黙りますわ」

　若干怯え気味に頷き、周囲の生徒たちや先生に謝罪するシャルロッテ。

　彼女は皇女で、他の誰も彼女に逆らうことはできない。しかし、シンとリィは別だ。特にリィは、優しげな顔をしながら容赦なくぶん投げられた相手。それはもう、トラウマになるほどにやられた。だからシャルロッテは、彼女にだけは逆らえないのである。

「ぷぷぷ。リィちんに怒られてんの」

　それを笑う野菊もまた、リィに静かに見つめられる。

「野菊ちゃん……」

　リィの無表情で静かな瞳は、なんだか少し怖い。いつもは眠そうでほわんとした空気を纏っているのに、無表情に見つめられると背中に冷気を感じるのだ。　

「あ、う、うん、分かった。私も静かにするね」

　そう言い、野菊も慌ててノートに視線を落とす。

　やっと静かになったと、クラス中がほっとした。





　体育の時間。

　教室を移動し、体育館へ向かう。

　もちろんシャルロッテもそれについていったわけだが、運動着に着替えるために更衣室に入っていくシンを追いかけていくと、野菊にぐい、と腕を引っ張られた。

「何シンくんの着替え覗こうとしてんの！　ハレンチだよハレンチ！　そんなのこの野菊ちゃんが許さない！」

　と、何故か代わりに野菊が男子更衣室に突入。

「シンくんの貞操は、私が守る！」

　突然の美少女乱入に、男子更衣室に絶叫が響いた。

　更に、恥ずかしがり屋な男子たちが涙目になるのを気にも留めず、自分も着替えようとするものだから、「お前は馬鹿か！」とシンに更衣室から放り出された。

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