麗しき星の花
「……いつまで続くんでしょうね、これ」

 ヴァンガードが生暖かい目で父子のやり取りを見ている。

「うふふ、私、初めてフェイレイくんがお父さんに見えましたわー」

 ローズマリーは自分も母親なので、そのやり取りが微笑ましいようだ。

 しばらくこの父子のやり取りが続き、やっと一息ついたところで、リディルが子どもたちの前に進み出た。

「これ、持っていて」

 しゃらりと、リィの首に銀の鎖がかけられる。先についているのは小さな指輪だ。十字の形が彫られ、その中心に翡翠の石がはめ込まれている。

 同じものがシンの首にもかけられた。リィのものよりも一回り大きいサイズの指輪で、こちも十字が掘られていたが、石はついていなかった。

 鎖の先の指輪を目の前にぶら下げてみる。見たことのあるデザインだ。

「……これ。父様と、母様、の?」

 両親の左手の小指にこれがついていた。確か、初めて父が母にプレゼントしたものだという、ペアのピンキーリング。

「そう」

「昔、前の精霊王に力を込めてもらった指輪なんだ。魔力を込めると、転移魔法陣が展開するようになってるからな。これのミニチュアだけど」

 と、フェイレイは子どもたちの足元にある魔法陣を指差す。

「手紙、送るときはこれを使って」

「……うん、分かった」

 シンとリィは掌の上に指輪を乗せ、頬を緩めた。

 物には執着しないため、大事な物が何もなかった2人。そんな2人に両親の想いが込められたものが贈られた。大事なものが出来た。それが嬉しい。

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