過保護な彼にひとり占めされています。
「例えば宝探しを含めるとか、クイズを入れるとか、子供も大人も楽しめる内容で」
すぐに走り出す電車内で、相葉はそう茶色い毛先を揺らし、企画の趣旨をざっくりと分かりやすく説明してくれる。
「子供も大人も……って、簡単なようで難しいね」
「だよなぁ、それに俺はまず巨大迷路自体行ったことがなかったからさ。ま、とりあえず今日は村本はあれこれ考えず遊んでくれていればいいよ」
色素の薄いその瞳をこちらへ向けて言われた言葉に、私はキョトンと首をかしげた。
「へ?いいの?」
「おう。子供の意見も聞きたいしな」
……って、それどういう意味。
意地悪い笑みをうかべて私を見る相葉に、ムッとふてくされた顔になる。そんな私の顔が面白いとでもいうように、相葉は笑って窓の外の景色に目を向けた。
ふたりで出かけるということに、ちょっと緊張、というか、意識してしまう。
なのにこうして話しているといつも通りになってしまうから、相葉との関係はやっぱり不思議だ。
「ここだな」
電車に数十分揺られ降りた駅から、歩いて数分と来た先で、相葉の言葉とともに足を止める。
そこにどんと構えるのは、『東京フォレストパーク』と書かれた少し古さのある遊園地。
「へー……ここの遊園地、初めてきた」
「都内だと巨大迷路ってあんまりないんだよな。とりあえず、どんな感じかってだけ分かれば」
入り口へ向かい歩きながら言うと、隣を歩く相葉は肩にかけていた黒いボディバッグから財布を取り出すと、入り口でチケットを購入した。
もちろん「あ、領収書ください」のひと言も忘れずに。
そして足を踏み入れた遊園地には、この時期の平日午後ということもあり、学生や大人がぱらぱらといるだけで、全体的に空いている印象だ。
小さなジェットコースターや古びたメリーゴーランドなど、全体的にレトロな雰囲気ただよう園内を歩き出しながら、私は先ほど入り口で貰ったパンフレットを広げた。