過保護な彼にひとり占めされています。
会計を済ませた相葉と、会社へ戻ろうとふたり平日午前の街を歩く。
「どうして相葉がここに?」
すれ違う人をよけながらスタスタと歩くその足を小走りで追いかけながら問いかけた。
「名波さんから聞いたんだよ。『山野フーズの打ち合わせ、いちかに行ってもらった』って」
「な、名波さん二日酔いひどそうだったから……」
「あの松永、仕事は出来るらしいが女好きで有名でな。何年か前に佐藤の前に担当してた女子にナンパするわセクハラするわで『担当は男に限定するように』って話になってたんだよ」
そうだったんだ……。おそらく佐藤さんから名波さんへの引き継ぎの際に、皆すっかり忘れてしまっていたのだろう。
「それを思い出して急いで駆けつけてみれば、あれだ。来て正解だったな」
それを思い出して、駆けつけてくれたの?
私のために、急いで、息を切らせて。
「……わざわざ来なくても、私がひとりでなんとか出来てたかもしれないのに」
「いーや、ない。お前は揉めたり面倒なことになるかもしれないとか諦めて、連絡先交換する。でもってあとでひとりで悩むタイプ」
よ、読まれている……。
そこまで言い当てられ、否定できない私に、隣を歩く相葉は鼻で笑う。