Change the voice
嘲笑と挑戦
「それは…どういう…」


篠田さんの問いかけに、小早川さんが後を継ぐ。


「こんな…不躾なことを私の口からお伝えして良いのか…。ただ、先方…嵯峨さんが仰るには、どうやら桐原さんに気になる点があるようで、それを確認してからでないと出演自体決められないと…」

「嫌だ嫌だ!ドラマCDだって嵯峨さんと桐原さんであんなに盛り上がったのよ?!今更キャストが変わるなんてありえないわ!そもそも、私が嫌だもの。佐野は嵯峨さん以外考えられないし、宮城は桐原さんじゃなきゃ絶対イヤ!」

「…とまあ、こんな感じで、アニメ化は決まっているんですが、キャストがまだ発表できない状況でして…」

「キャスト発表は、桐原次第ということですか…」

「桐原さん次第というか、嵯峨さん次第というか…」


小早川さんの端切れも悪い。
当然だ。看板作品のアニメ化に、主演が降板をちらつかせているのだから。


「わかりました。近いうちにこちらから嵯峨さんサイドにアポイント取ってみます。なるべくスケジュールに支障が出ないように」

「ありがとうございます。ご無理申し上げてすみません」

「まったく!嵯峨さんがこんなに融通の効かない人だなんて思わなかったわ!」


頭を下げる小早川さんの横で、御厨さんは怒った様子で腕組をしている。
嵯峨さんの扱いづらさは業界では有名な話だが、致し方ないことだ。


(それにしても、嵯峨さんが俺に確認したいことって――)


苦笑いを浮かべながら、俺の心中は穏やかではいられなかった。
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