1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「よも、話せるか?」

「…はい」

 連れて行かれた日から今日までのことを、何とか言葉にして伝えると、剣人さんは目を見開いて話し終えるころにはまた抱きしめてくれました。
 あ、あと今日が1月20日であることも教えてくれました。

 1か月近く監禁されていたんですね…。

 後ろにいる雷斗くんと輝星さんは父親とあの人に怒りを込め、若干殺気も漂い始めました。

「よも、殴られたりとかはされてないな?」

「はい。ただ、毎日抱かれていただけです」

「だけじゃないだろ?薬を出すから、それを飲むこと。あと、妊娠の兆候があれば必ず俺に知らせるんだ。いいな?」

「はい。…あの、お父さんは…」

 今度は私が質問する番です。結局、お父さんのこと全然わからないまま過ごしていたせいで何が起こっているのかさっぱりわかりません。

 でも、お父さんのことを口にした瞬間、剣人さんの表情は曇りました。
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