1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「よも、日付変わったら飲食禁止だから、今のうちに水だけ飲んどけ」

「…剣人さん、私…」

「うん?」

「…赤ちゃんを…殺すんですか?」

 剣人さんの家のソファで、膝を抱えて座る私の隣に腰掛けた剣人さんは表情を険しくさせる。

 あれから2日経って、明日に迫ったこの日。

 ずっと考え続けてきた言葉が漏れてしまいました。

 違うって、何度も教えてくれたのに、やっぱりそうとしか思えなくて、せっかく来てくれたお母さんたちを心配させるだけで、全然覚悟が出来ませんでした。

 神野くんはパソコンの手を止めて、じっと私を見つめていました。

 2日前から嵐鬼にあった資料を全部持ってきた神野くんは、全部を引き受けてくれて、こんなんじゃダメだって思ってるのに、作業も手につかなくて。

 何やってるの…。

 みんなを困らせて、心配させてるだけじゃないですか。
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