1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

『2時ちょうどから始めたいと思います。よって1分でも遅れればこの話はなしです。形式はこちらと少年側の情報を出し合い、議論するものとしたい。晴野被告本人にも来てもらう予定です』

 父親はよっぽど自信があるみたいですね。

 でも、所詮は偽り。どこにでも入るすきはあるはずです。

『そして、報道陣のみな様もお招きしたいと思います。生中継でもされて結構です。私ごとで申し訳ありませんが、ここで報告と少年への連絡とさせていただきます』

 関口も立ち上がり、一礼すると2人は会見の場から姿を消す。

 すぐにスタジオに切り替わったニュース。キャスターが何か話をしていますが、その頃にはもう視線をずらしていました。

「決まったな」

「そうですね…。でも、気になることがあります」

「気になること?」

「っあきら兄ちゃん!」

「え?あ、わり…」

 あ、智希のこと忘れてました。

 智希は神野くんの腕の中から抜け出すとぷんぷん怒りはじめました。謝る神野くんですが、完全に智希が上手に出ていますね。

 なぜかそこに望亜まで参戦して、智希と望亜にもみくちゃにされる神野くんに思わず笑ってしまいました。
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