1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「ただいま~」

 ドアを開けると、いつもは飛び出してくる智希も望亜もやって来ません。
 それどころかおかえりという声もないです。

 どうしたんでしょう。今日は出かけるなんて聞いてないのに…。

「お母さん?」

 靴を脱ぎながら声をかけてみても応答がない。

 不審に思いながらリビングの戸を開けると、ソファの下にお母さんが机に伏せた状態で寝ていました。その両脇には智希と望亜の姿があって、安心しちゃいました。

 なんだ、寝てただけなんですね。でも何もかけていないのはいただけません。

 とりあえずその辺にあったタオルケットで3人の肩にまとめてかけちゃいます。
 ふと机の上を見ると、白い封筒があって、中から手紙が飛び出しています。

 なんでしょうか。これ…。

 気になってお母さんの手から抜こうとした時、お母さんが目を覚ましました。
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