【完】ある日、恋人を購入した。

そのあたしの返事に、シュウさんは何も言わずに微笑んだあと、あたしの前に一枚の紙を差し出して、言った。



「じゃあ、購入する前にまだもう少し確認ね」

「はい、」

「尚叶を購入したら、別れる心配がないし、尚叶はずっと友香ちゃんだけを愛してくれるし、邪魔者もいない。

万が一邪魔する人が現れるようなことがあっても、心配しないで。二人は100%上手くいくっていう結果がでてるから、絶対に壊れることは無い」



そう言って、また「オッケー?」って問いかけてくる。

その問いにも、あたしは頷いて…そのあとはお金の支払いの説明を聞いた。


尚叶くんはやっぱり商品だから、それなりの値段がついている。

でも、いま一括で払えるような値段では無くて、あたしはローンを組んでもらった。


…まぁ、車を買うよりは断然安いけど。


そしてその後は、いよいよ大詰めの購入手続き。

と、いっても名前を書いてハンコを押すだけなんだけど。


それが終わると、あたし達はようやくシュウさんと別れてS.Shopを出た。



「ありがとね、友香ちゃん。お幸せに~」



…購入手続きの使用時間、およそ一時間。結構かかったな。

あたしがそう思いつつ腕時計を見ると、尚叶くんが言った。

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