【完】ある日、恋人を購入した。
「…だったら、それ知ったらどのみち友香ちゃんの心はお前から離れてくよ」
「だろうな。けど、今だけでいい。それでも今だけは夢を見させて」
尚叶くんがそう言うと、シュウさんが呆れたようにため息を吐く。
「…じゃあ友香ちゃんにバレたら即返品しろ。
お前が夢を見れるのはその時までだ」
「…、」
そしてそのシュウさんの言葉とともに、
その時までシュウさん自身も「友香ちゃんに近づかない」ことを誓って、その日尚叶くんは店を後にした。
「…はぁ」
店を出たあと、夕空を見上げて独りため息を吐く。
…“違反”。そうだな。確かに、そうだった。
けど、友香は俺のことを「好き」だと言ってくれた。それはきっとホンモノで。
キタナイやり方。
友香の悲しい顔を想像すると、心が痛む───…。