Ri.Night Ⅲ
貴兄の両手が肩からそっと離れていく。
それが合図となり、あたしはゆっくりと目を閉じた。
そして、覚悟を決めるという意味を込めて小さく深呼吸する。
伝えなきゃいけない事は全て伝える。
これが最後だから。
そう心の中で呟いて目を開けた。
ゆっくりと振り返ると、視線の先にはかつて“仲間”と呼んでいた人達が居て、あたしを唖然とした表情で見ていた。
今のあたし達はあの頃と違い、全く正反対の相容れぬ関係。
決して交わる事のない関係。
そう思っているのはきっとあたしだけじゃないと思う。
言葉に出さなくても、皆の表情がそうだと言っているから。
怒っていないのは分かる。
けど、あたしを見る目はもう以前と全然違っていた。
「──凛音、お前、さっき何て言った?」
皆の疑心の目が容赦なくあたしに突き刺さる。
「……止めて、貴兄って言った」
煌の射抜く様な鋭い瞳を真っ直ぐ見つめ、力強くはっきりとした口調でそう告げる。
「“貴兄”ってまさか……」
「そう。貴兄は……、獅鷹六代目総長“貴”は、あたしの兄」