振った男
幸せと不安
自分じゃない人を好きな男との交際は、どうなるか不安だったけど、意外にも楽しかった。一樹も楽しそうに笑ってくれたから、嬉しかった。

一樹への気持ちは更に強くなって、もう絶対に一樹を手放せないと思った。


「ねえ、一樹。今日、うちに来ない?」


3回目のデートの途中で、私の部屋に誘った。女から誘うなんてはしたないと思われるかもしれないけど、もっと私を知って欲しかった。

そして、私を好きになって欲しかった。

少なからず一樹も私に好意を抱いてくれているということは感じていた。だから、思いきって、誘ってみた。

この日のデートも朝からで、映画館でラブコメディを観て、近くのカフェでランチをして、ショッピングも楽しんだ。

ずっと手を繋いで歩いていた。会話も弾んでいて、今までで一番楽しいデートになった。

一樹もきっと楽しんでくれているという自信もあった。だから、もっと密な関係になりたかった。


「舞花の部屋に?」


地方出身の私は、ワンルームのマンションで一人暮らしをしていた。

女が部屋に誘う意味を理解しているかな?
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