PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


何より、煥先輩の声に圧倒された。


同じ狭い空間でその声を聴けるのは、この上ないぜいたくだ。



透明感と野性味が重なり合う声だ。


硬質で、だけどしなやかで。


十分に低くて、でも少年的で。


美しいという一言でくくってしまうのは、なんだか違う。


尖った何かを秘めた、独特の気品と気迫が、聴く人の胸にまっすぐに突き刺さって、そして柔らかく染み入ってくる。



小夜子は煥先輩だけを見つめている。


煥先輩は、どこでもないどこかを向いている。


ひねくれた優しさを歌う正直なまなざしは、銀色の前髪に隠れがちだ。


その前髪にいつしか宿った汗のしずくが、ふとした瞬間、キラリと弾ける。


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