Heaven~第一章~
「……ごめんね。予定あったんでしょ?」

少しシートを倒した助手席で瞳を閉じ学に謝った。

「たいした予定じゃねーよ。椿が心配するようなことじゃないしな」

多分……嘘。
学の優しい嘘。

「そっか、なら良かった」

分かっているけど、私はその嘘に便乗する。

「良くねーだろうが。店の女か?」

「ん?」

「それだよ」

瞳を閉じていても学のイラつきは感じる。
声のトーン。
言葉の強さ。

きっと前より学との距離が近くなっているんだろう。

「さっきも言ったじゃん。女の世界も色々あるってさ」

「バカか?そんなんでおさまるはずねーだろう」

そうかもしれない。
だけど、学が動けば話は大きくなる。
面倒なのはごめんなんだよね……


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