Heaven~第一章~
事件のあった次の日から学は出掛けず、ずっと私の側に居た。
それにスマホが鳴っても私の前では絶対に出ることはなかった。

分かっていたけど、そのことには触れなかった。
出ないのにはきっと理由がある。
多分その理由は私の為……
私のせいではなく私の為……

たまに外出する時にも絶対に私を一人にはしなかった。
堕天使の誰かが必ず部屋に居た。

居心地は最悪。
見ず知らずの男と二人きりなんて。
その上、明らかに私より年上だとしても私には敬語。

普段なら文句を言うところだった。
だけど、そうする理由を私は知っている。
知ってしまった学の想い。
だから……
何も言わずにいた。

「ちょっと出掛けてくる」

「あっ、うん」

「そう言えば、久辺に連絡したのか?」

「……してない」

学は窓の外に視線を向け「一週間だな」と呟いた。

一週間。
あの事件から……

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