Heaven~第一章~
「ねぇ、学……バイトしたいんだけど」

あれから一ヶ月。
軽い軟禁状態はまだ続いていた。

「ひまなんだよ。毎日、毎日さ」

ふて腐れたように私が言うと「お前、寝れてる?」と私の顔を覗き込む。

ドキッとした。
何で?って思った。
あの日からぐっすりと寝れた日はない。

寝れたと思うと目が覚めてしまう。
琥珀色の瞳がジッと私の体を見つめている。
その瞳から逃れようと視線をそらしても、あの男の瞳は私を捕らえて離さない。
そして、口角を上げあの能面のような顔が笑っていた。

同じ夢。
繰り返させる夢。

私はいつも何から逃げていた。
逃げても、逃げても、逃げきれない。
その根底にあるものがある限り……―――


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