Heaven~第一章~
「椿?」

「あっ、うん。まぁ~寝てないこともないけど、何で?」

「クマすげーから」

学は私の目元に触れゲラゲラと笑った。

「酷い!」

私も笑って学を叩くと「心配してんだよ」と優しく瞳を細め「そうやって笑ってろよ」と言って私の腕を掴んだ。

学はあれからよく「笑え」と言う
笑っていれば、おもしろくなくても
腹が立ってもどうでも良くなるって。

だから私は最近良く笑う。
良く笑うようになったからと言って、どうでも良くなった訳じゃない。
良く笑うようになったから、一人じゃないんだと思えるようなった。
学が一緒に居てくれるんだって、強く感じれるようになっていた。

「バイトなら紹介してやろうか?」

前の店でのこともあったし、そこは丁寧に断った。

「まぁ、バイトも良いけどよ」

学はそう言って自分の寝室のドアを開け私を手招きした。

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