Heaven~第一章~
車から流れる洋楽に合わせ学が鼻歌を歌う。

飄々としていて何を考えているのか分からない。
だけど、学はもしかしたら私を一人にしないんじゃないかって、

学と繋いだ手から初めて感じた学の体温。

何度も抱き合って、一時の寂しさを紛らわせるより、
抱き合わなくても、触れるだけでこんなに胸の奥が熱くなるってことを初めて知った。

胸の熱さが私の頬を伝い流れ落ちた。

ズズッと鼻をすすりまた窓の外に視線を向けた。

鼻歌を歌っている学がギュッと私の手を握った。
私もそれに答えるように学の手を握った。

学と一緒に居れば、何かが変わるかもしれない。



少しずつで良い……
全てに向かい合えるようになりたい。


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