フェアリーサイン
「えっ? 見て分かんない?」
そいつは、黒いコウモリみたいな羽根を羽ばたかせて首を傾げた。
いや、分かるワケねぇーよ。
だって、おかしいじゃん! 人間の男の子がヒラヒラと宙を舞い、羽根があるんなんて! 絶対おかしい!
「……いや、どう見ても、分からないんだけど……唯一、分かるのは怪しいって事くらい……」
「き、君、何なの?」
あたしは、ぶっきらぼうな言い方で投げ掛けた。
すると、それはチョロチョロ飛び回って‘知りたい?” と聞いてくる。
「いや、別に」
なんか、その言い方が上から目線な感じがしてムカついた。
「そう? なら、早速本題に行こうか?」
そいつはあたしに笑顔を向けた。 ニコニコとしてて、なんか良からぬ事を企んでいそうなそんな表情。
「はぁ? 本題?」
ワケが分からないあたしは眉をしかめて、それを見やった。
「うん、本題」
ニコッと綺麗な笑みを浮かべて、本題とやらを告げる。
「へっ?」
次の瞬間、あたしは耳を疑った。
これが、フィーとの出会い。
そして、この出会いが全ての始まりだった。