王道恋愛はじめませんか?
『っ――!』
「わっ…!?」
想いを告げた瞬間、身体が彼の腕に包み込まれた。
頬に触れる彼の胸板から、嘉人くんの鼓動が聞こえてくる。
それは、私と同じように、早くて、大きな音だった。
『……ごめん、なんか、嬉しすぎて、…ちょっと、』
普段は、あまり自分の気持ちを表に出さない嘉人くん。
だからこそ、私以上にきっと、自分の気持ちを口にするには大きな勇気が必要だったんじゃないかな、と思う。
その勇気を、私は大事にしたい。
『――ずっと、こうしたかった。』
「……!」
耳元で、今まで感じたことのない至近距離で囁かれた私が、顔を真っ赤にするのにそう時間はかからなかった。
恥ずかしいけど、…すごく、すごく嬉しい。
ゆっくりと嘉人くんの背中に手を廻し、小さく口を開いて言う。
「うん……私も。」
欲しかったぬくもりに触れることが、こんなに幸せなのだと初めて感じた瞬間だった。