恋する歌舞伎
権太は不良息子ではあったが、根は真っ直ぐな男。

機会を見つけて改心しようと思っていた。

そんな中、金を隠したはずのすし桶と取り違え、弥左衛門の隠した首のすし桶を発見する。

父がニセ首を差し出して維盛を逃がそうと計画していることを察し、自分も助力しようと思っていたのだ。

その証拠に、権太が笛で合図をすると、維盛と若葉の内侍親子が姿を見せる。

では、先ほど縛られていた親子は一体誰なのか・・・。

身代わりにしたのは、権太の妻と息子。

二人を人質に立てて油断をさせ、維盛の逃亡の手助けをするつもりだったのだ。

それを聞いた弥左衛門は、なぜもう少し早く改心をしなかったのだと嘆く。

維盛はこの家族の惨劇を目の前に、頼朝への恨みを込めて権太が褒美としてもらった陣羽織を切り裂く。

すると今朝の内側に、数珠と袈裟が縫い込まれていることに気がつく。

頼朝はかつて維盛の父に命を救われた過去があり、その恩に報いようと維盛に出家を促し、命を救おうとしていたのだ。

ボタンの掛け違えから、大きな政治抗争の犠牲になった権太。

彼は家族に見守られながら、ひっそりと息をひきとるのだった。



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