恋する歌舞伎
道玄が住むのは、本郷にある盲長屋(めくらながや)と呼ばれる按摩たちが住む長屋の一角。

道玄の女房・おせつは、按摩仲間のお兼(かね)の世話で道玄と夫婦になったのだが、日頃から道玄から暴力を受けるなどひどい仕打ちを受けていた。

そこに訪ねてきたのは姪のお朝(あさ)。

奉公に出ている伊勢屋の主人におせつの窮状を話したところ、不憫に思った旦那から金を貰ったと話す。

お金は有難いものの、もしやお朝が盗んだのではと心配になったおせつは伊勢屋へ事情を聞きに行く。

しかしこの様子、道玄が門口でこっそり聞いており、このことを利用した悪巧みを考えていた。

それは
「器量の良いお朝は、毎日伊勢屋の主人の肩もみをしていると見せかけ、不義をして金をもらっている」
という話をでっち上げ、伊勢屋を強請ろうというものだ。

ちょうどそこへ、実は道玄と訳ありの女按摩・お兼もやってくる。

道玄とグルのお兼は、強引にお朝に主人との仲を認めさせ、

「不義をした罪滅ぼしに家出した」という事にし、お朝を廓に売る手はずを整える。

更にお朝が書いたという偽の書き置きを用意し、それを証拠に伊勢屋から金をせしめる計画を実行に移すのだった。

< 118 / 135 >

この作品をシェア

pagetop