恋する歌舞伎
何も知らない次郎左衛門は、自分のような面体でも絶世の美女を身請けできることを自慢したい気持ちもあり、仲間を連れて意気揚々と廓にやってくる。

いつものように馴染み客としてのもてなしを受けた後八ッ橋を呼ぶが、様子がどこか違う。

八ッ橋にとって次郎左衛門は、男性としての興味はないものの、いい人には違いなく、贔屓にしてくれた恩もある。

だが物陰から栄之丞が見張っているため、きっぱりと「もう顔をみるのもイヤ」と縁切りをする。


状況が飲み込めない次郎左衛門。

仲間の前で恥をかかされた挙げ句、恋人の存在も知らされ、これ以上にない屈辱を受ける。

しかし馴染みの廓ということもあり、空気を読んでひとまず状況を受け入れる次郎左衛門だった。



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