恋する歌舞伎
運が良いのか悪いのか、十六夜は白魚船に引き上げられ、清心は泳ぎが得意だったため、それぞれ別々の場所で助かってしまう。

自分だけ生きながらえてしまったと苦悩する清心だが、川岸で一人の美少年と出会う。

腹痛を訴えるのでさすってやると、そこにはなにやら金の感触。

もみあった末に、清心はついにこの求女(もとめ)という少年を殺めてしまう! 

それが愛した人の弟だとは知らずに・・・

はじめは死んで詫びようとしたが、いざ刀を突き立ててみると痛みに耐えられず、死ぬ勇気もないことを自覚する。

「しかしまてよ。
今日、十六夜が身を投げたことも、この少年を殺したことも、目撃者はお月様と俺だけ。
人間わずか50年、楽しまなくては損だ」と、

この殺人をきっかけに、正義感も倫理観も音を立てて崩壊していく。

「一人殺すも千人殺すも取られる首はたった一つ」と悪に目覚める清心なのだった。
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