恋する歌舞伎
数日後お京は、きらびやかな十二単を身にまとい、源氏のことなど思い出す気配もない常盤御前の様子を鬼次郎に報告する。

落胆した鬼次郎はいてもたってもいられなくなり、義朝の追善のためにも、常盤御前に恥辱を与えようと奥殿に忍び込むのであった。

その頃常盤は奥座敷で、的に矢を当てる楊弓遊びに興じていた。

この様子を改めて目にしたお京は、大事な義朝の恩も忘れ、敵方の妾になったり、公家へ嫁入りしたりと、節操のない常盤御前を散々になじる。

鬼次郎も、奥方の心変わりが情けないやら憎らしいやら。

とうとう我慢ならず「最早あなたは主人ではない」と、常盤御前の持っている弓を取り上げ、思い切り打ち据えるのだった!

そんな二人に対し、常盤御前から意外な発言が飛び出す。
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