恋する歌舞伎
三ヶ月後、伊織は赴任先の京都にもなじみ、今日は同僚たちと月見酒を楽しみながら、最近手に入れた刀を披露している。

この刀だが、大変高価なため下嶋(しもじま)という同僚に足りない分の金を借りて購入した品だった。

しかし友人の間で評判がよくない下嶋を、伊織はこの宴席に招待しなかった。

すると下嶋はどこかでこのことを聞きつけ
「金を貸したのに自分を招かないというのはどういうことか」
と宴を壊しに泥酔状態でやってきたのだった。

慌てる伊織は、下嶋から
「この刀で人が切れるか」
と迫られもみあううちに、勢い余って斬りつけてしまい、その拍子に下嶋は欄干から河原に落ちてしまった!

冷静になったときにはもう遅い。

るんからもらった守り袋に向かってただ謝ることしかできない伊織なのだった。
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