恋する歌舞伎
そんな困り果てた婚約者家族のところへ、一人の虚無僧が現れる。

この虚無僧こそ、本蔵なのである。

なぜかこの男は、恨みを買われているとわかっていながら家にやってきて、それを逆なでするかのように
「おまえらのような腑抜けには娘はやれない」
といったのだ。

お石はとうとう我慢できずに本蔵を槍で突こうとするが、女の体では到底太刀打ちできない。

そこへ母を助けるために助太刀をしたのが力弥だった!

この話のからくりを明かすと、本蔵は主君の恨みをその手で晴らすことができるよう、わざと力弥を怒らせ、自ら刺されにいったのだ。

つまり抱きとめたことを後悔していたのは本蔵自身だったのである。

もちろん、もう一つの理由はわだかまりを無くして娘を力弥に嫁がせたいという親心もあったのだろう。

< 79 / 135 >

この作品をシェア

pagetop