恋する歌舞伎
本蔵は最後の力を振り絞り、小浪の父親として、由良之助に引き出物を渡す。

しかしその目録は、なんと主人塩谷の仇・にっくき高師直の家の見取り図だったのだ。

これがあれば、迷わずに敵地でも戦うことができる。

息を引き取る本蔵に感謝をする由良之助・力弥親子。

いよいよ出発の時がきたが、父は気を利かせ、息子夫婦に一夜だけでもと夫婦の時間を過ごさせる。

力弥と小浪、ほんの一時の夫婦生活。

二人は今までの人生で、このときほど朝陽を恨んだことはなかっただろう。

この後、由良之助がリーダーとなり、力弥も含む四十七士は高家に乗り込み見事討ち入りを果たし、自らの命を枯らすのだった。

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