あなたはわるい人ですか?




月曜日。



「嫌なところが見当たらないんだよね……」



昼食の時間、テーブルで手を口元に組み、真面目なトーンで久瀬さんと付き合うことになったと打ち明けてみたが、柏原はまったく相手にしてくれない。コンビニで買ったサンドイッチのフィルムをはずすことに集中している。



「なに、なんなの惚気なの?」

「うん……」

「うざいな高坂」



相変わらず本音百パーセント。今日も清々しい。

週末交際をスタートさせた私と久瀬さんは、土曜日に夕食を一緒に食べ、日曜日は一緒にショッピングモールとホームセンターへ行った。交際は順調なスタートを切ったと言えるだろう。だからこそ悩んでいた。



「ちょっと後ろめたくなっちゃうくらい良い人なんだよね……」

「小説の中で悪者にしてること?」

「うん」

「だったらやめればいいのに」



やっぱり柏原はあの小説が好きではないようで、私も相変わらず「うーん」と曖昧な返事をすることしかできなかった。彼女の言うことは正しい気もする。久瀬さんに小説のことを話せていないし、これからも話すのかどうかわからない。でも想像は止まらない。

親切にされればされるほど、好きになれば、好きになるほど。まだ知らない久瀬さんのことを考えてしまう。



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