ドクター
3時間後。
実加はゆっくりと目を開けると、自分の部屋ではなく、ERだった。
前にもこの部屋に来たことがあった。
カーテンだけで仕切られたベッド。
両隣には人がいる。
実加はボーっと天井を眺めている。
しばらくして、青木先生がカーテンを開けて入ってきた。
実加ベッド沿いの椅子に座る。
「等々力先生から聞いたよ。いつから?」
「一週間以上前から・・・・・・・・・。」
いつもの青木先生とは違う声色に、実加は小さな声で答えた。
「なんでそんなことを?」
「いつまでも部屋に閉じ込められて、ずっと出たかった・・・。」
「僕、まだ一人で外に出たらダメだっていったよね?」
「なんでかわかんないもん。
こんなに普通なのに。」
「実加ちゃん、実加ちゃんが思ってるほど、君の体は普通ではないんだよ。」
そういわれると、実加は悲しそうな顔をした。
そして、これ以上話したくないとでもいうように、青木先生に背を向けた。