クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
水無月凪 side
隣にいる神楽はスルーした琥珀に不満そうな顔を向けるが、琥珀は敢えてそれも無視している。
そのせいで神楽は頬を膨らませて不貞腐れている。
俺はそれを苦笑いし、琥珀に言われた通りに話し出した。
凪「あー。俺自身のことじゃなく、向日葵に関係があることなんだが…
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それに思い出したっつっても、よくは覚えていないんだけど…
あれは俺が宮本家に来て約1ヶ月ほど経った頃の話だ。
「はぁ!?お前また潰したのか!?」
あの日の夜方、家には俺と大輔(ダイスケ)さんしかいなかった。
…ああ、大輔さんは俺を預かってくれた宮本 大輔(ミヤモト ダイスケ)さんで、育ての父親だ。
部屋で勉強をしていた俺は喉が渇き、キッチンへいこうと大輔さんの部屋の前を通ると、呆れたような大輔さんの声が聞こえてきた。
たまたま部屋のドアが少し開いていて、悪趣味だとは思ったが、どうしても気になって覗いた。
その部屋は、警視庁で組織犯罪対策課?っていう課の課長をしている大輔さんが、組や族の大量な資料をぎっしり詰めている書斎だった。
「あのなぁ…オレはお前の回収係じゃねぇんだぞ?」
相変わらず散らかっている書斎は重要な資料だろうに、足の踏み場もないくらい床一面にバラ撒かれていた。
けれど、この部屋の中だけは触るなと、この家に来た時から言われてきた俺は、一度も書斎に入ったことはなかった。