クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
天津千歳 side
…まさかここまで朝比奈琥珀の頭の回転が速いとは思わなかった。
ここまで的を得たことを言うとは思ってなかった。
それと同時に、朝比奈琥珀は百桃を大切に想っていることがわかった。
恐らく、ここにいる誰よりも。
朝比奈琥珀は百桃のことをわかっている。
…だから、こいつには話してもいいと思った。
………周りに奴らがいるのを忘れ、俺は口を動かしていた。
千歳「…俺が百桃に会ったのは14年前。
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数あるネオンが眩しい程にキラキラと輝き光を放つ、ざわめき溢れる夜の街。
女を誘ってる奴、物陰でレイプをする奴、カツアゲをする奴、喧嘩をする奴、、
そんなくだらねぇ奴らが視界にチラホラ入るが、俺はそれら全てを無視して街を抜けていく。
街を抜けて数分、耳障りなほど騒がしかった辺りは人一人居ないほどの場所へと来ていた。
…当時の俺は組を仕切ってはいなかった。
むしろ、潰そうとさえ思ってた。
何しろ好きで組長になった訳でもねぇし、シャブ(薬)もヤりてぇと思ったことは一度も無かったからだ。
天津組はただ奇跡的に今までガサや他の連中とのいざこざが無かっただけ。
一度でもタイミングの悪ぃ時期にガサが入ってたら既に天津組は存在しなかった。
俺は組長と言ってもシャブなんざヤったことすらねぇし、犯罪っつー犯罪も自分の手を汚したことは一度たりともない。
だから基本はアジトにいることすら無かったし、夜は大体街をブラブラと歩いてただけだった。
…だが、当然形だけだとしても頭は頭で、絡まれねぇわけではない。