クロ * Full picture of the plan * Ⅳ

工藤雷 side




…百桃が初めて青星に来てから1週間後の夕方。



その日は希輝も来なかったし、下っ端の数も少なかった。



そんな中、みんながみんな暇で個々に好きなことをやっていた。



--ガチャッ



志「おー、よかった。全員いるな!」



裏口の方に繋がる部屋のドアが開き、そんな声と共に志が入ってきた。



葵絆「!?何、兄貴どうしたの。組は??」



漫画を読んでいた葵絆が予想外の人物に驚いて咄嗟に漫画を閉じ、立ち上がった。



俺たちも吃驚して手に持っていたものを各々が机に置き、葵絆と同じように立ち上がる。



志「タッツーに頼まれごとされてさ。
…おいで?」



「「「「??」」」」



まるで子供に言うみたいに後ろの"誰か"に言った志に俺たちは首を傾ける。



…だが、後ろから姿を現した人物を見て俺たちは今度こそ固まった。



京「な……っ!」



百桃「……まえはとつぜんでてってすいません。きょうはたっちゃんにいわれてきました。」



頭を下げて俺たちに謝り、礼儀正しく敬語を使う百桃。



前とはまるで違う態度に少し驚く。



志「タッツーが大事な用で来れないから俺が代わりに連れてきた。
百桃、ここ座って」



立ったまま固まる俺たちに志が軽く説明し、百桃を葵絆の正面のソファーに座らせ、その隣に志も座る。



それを見て俺たちもやっと動き出し、元の席に座った。



飛鳥「……で?志はこの子に説明したの??」



志「してねーよ?それはお前らがするもんだろ、普通。」



何を言ってんだ?と逆にきょとん顔をする志に思わずため息をついた。



雷「……葵絆。」



じーっと百桃を見つめてる葵絆に声を掛けた理由は、総長の葵絆から百桃に言うべきだと思ったから。



葵絆もそれを理解しているのか、顔は百桃に向けたまま話し出した。



葵絆「虹羽百桃、君に俺たちの裏姫になって欲しい。」



百桃「ぇ・・・・・・っ、、?」



前の無表情が嘘みたいにコロコロと変わる表情は本当に普通の子供みたいだ。



百桃「…な、んで……?なんで、僕なの………っ!?希輝がいるのにっ!」



怒ってるわけではない。ただ混乱しているという感じだ。



それでも裏姫になるのが嫌なんじゃなく、ただ単に自分が姫になる意味がわからない。


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