クロ * Full picture of the plan * Ⅳ
虹羽希輝 side
琥珀「んじゃ次は……
虹羽希輝。お前の番だ」
ビクッ
円「…琥珀、希輝が何か知ってるとでもいうのか」
奥の方から、メグちゃんの低い声が響く。
けど、琥珀はそんな声を無視し、じっと私だけを見つめる。
琥珀「…わかってるよな?お前らがした"罪"は消えない。言わないなら……俺から言わせてもらう」
…わかってる。琥珀が"全部"知ってることは。
私が犯した"罪"の全てを、琥珀も陽向も知ってる。
だからこそ、私のことが許せないんでしょ?
琥珀の、陽向の瞳が、私1人に向けて殺気籠もってる。
……わかってるわよ。全部、言わなきゃいけないのは。
私は傷ついちゃいけないんだから。
希輝「…わかったわ。
全部、話せばいいんでしょ?」
それならもう、腹を括って話そう。
琥珀「当たり前だ。」
…もう既に、私は嫌われてるのだから。
希輝「…そうね、どこからがいいかしら。
じゃあ、初めに"ある感情"を抱いたあの年‥‥
今から15年前のことよ……
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私の一番古い記憶はまだ2歳の頃の出来事。
ある日、私は部屋で双子の弟である来蘭と2人だけで遊んでいた。
お兄ちゃんは学校、パパとママは仕事で家にはベビーシッターさん一人がいた。
何をして遊んでいたかはあまり記憶にない。
けど、2人で笑いあっていたのは覚えていた。
そんな時、控えめに部屋のドアが開いた。
ベビーシッターさんならノックはするはず。
それなら誰だろう。と顔を向けた。
ドアからおずおずと顔を出したのは、百桃だった。
希輝「も、」
来蘭「ももっ!」
ももなに、と声をかけようとしたが、私の言葉を遮って来蘭が百桃を呼んだ。
その時の私は、なんで‥‥と思った。
だって、この家で百桃は浮いている存在だったから。
お兄ちゃんも私も来蘭も、百桃とはあまり話したことがなかった。
というか、同じ家なのにご飯の時以外会うことすら滅多になかった。
だから驚いた。
来蘭が百桃に懐いているのが。
人見知りで人と会うときは私やママたちの後ろに隠れていたあの来蘭が、百桃に笑顔を見せていることが。