秘め恋*story7~試着室で…~




「た、滝本さん…?」




背中には鏡、正面には私の手を掴んだままの滝本さん。



試着室の小さな空間に滝本さんと2人きり。
ドキドキし過ぎて、胸が痛い。



恥ずかしくて下を向いていると、




「高田さん、
ここでキスしたら…怒りますか?」




「えっ!?」




思っても見なかった滝本さんの言葉にびっくりして、顔を上げると…




「ど、ど、どうしてキス…ですか?」




吃りながら、必死に言葉にした。




「どうして…」




そう呟いた彼は、はにかんだように笑うと、




「一生懸命なところが可愛くて、キスしたくなりました。」




そうハッキリ告白されて、私の顔は真っ赤になってしまった。


もうすでに頭から湯気が出そうな…




「キス…したら、ダメですか?」



「そ、そんな、えっと…」



軽くパニックな私に、子犬のような目で聞いてくる彼は今まで見せていた顔と別の顔に見えた。



「分かりました、今日はこれで我慢しますね。」



「ふぇっ?……」




その後私はどうやって家に帰ったのか、いまいち記憶がない。



だって、


だって…



「うわぁっ…/////」



朝、1人思い出して奇声をあげてしまった。



今でも感触を思い出してしまう…
私の頬に滝本さんの唇の…



「にゃっ…////」



滝本さんて、意外と積極的なのかな…。
意外なギャップを見つけて、朝から胸キュンしてしまっていた。



今日は朝出勤したら、まずチーフに謝りにいって…




「え?どういう事ですか?」



「いいから、この会社に連絡してみなさい。」



「は、はい。」




朝、チーフからはその会社の名刺を渡されるだけだった。



戸惑いながらも、その会社へ連絡をとってみると…何故かあの問題の商品の山を引き取ってくれるという思っても見ない話だった。




何で?


どうしてこんなに早く解決できたんだろう?


どうしてチーフはあの会社を私に?
















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