笑う門には福来たる!!
瑠璃も玻璃も照らせば光る
近藤の思っていた通り


天才剣士 沖田総司 の名前は
京に知れ渡った


そのころ



「あのさぁ~繕い物多すぎねぇか?
前回から、そんなに経ってねぇぞ!?」



誠十郎は、通いで繕い物や家事をすることになっていた


3日ほど前に、繕い物をしたばかりだった


しかし、今


誠十郎の横に山積みの衣類たち


「人が増えたんだし、巡察で暴れるからなぁ~まぁ…頼むわ」


土方が適当に言って行く


「せせせせっ誠十郎は、おり…ますか?」


すっかり怯えた女が、屯所にきた



縁側で繕い物をしている誠十郎に

女は声をかけた

「誠十郎~!!」

「お師匠さん?どうしたの!?」

この女は、誠十郎の舞踊と三味線の師匠

女の声などするはずもない屯所


部屋にいた幹部達が、顔を出す


「誠十郎の コレか?」


と小指をたてる永倉に、呆れつつ


「お師匠さん、ご用件は?」

「人が足りないのよ!!
二十歳前の女の子!!
お澄もいないし、誠十郎!!
あんたしかいないの!!」

「五人いるだろ?」

「その五人のひとりが、風邪をひいて
どうにも… ね?」

「別にいいけど…今夜だっけ?」

「そうよ!!化粧とかあるから早めに来てちょうだい!!」

「わかりました」


逃げるように、去って行く

師匠を見ながら、原田が呟く


「二十歳前の女の子を捜してて
誠十郎に声を掛けてくるって…ぷくくっ」

「女顔だもんね!きっと化粧したら、すごく綺麗だよ!!」

「うむ… うまく騙せるだろうな」


藤堂と斎藤までが面白がる


「うるさい」


「…ごめん」


すでに繕い物を再開していた為、怒られる



なんだかんだで、あっという間に繕い物が終わり


「土方さん、終わったよ
悪いけど、今日は帰るから」

「おう!後で皆で見に行く!」

「…別にいいけど」

「どこで踊るんだ?」

「島原」

「は?」

「俺…君菊って名前だから」

「は?」

「見に来るんだろ?」

「…おっおう…」

「じゃあ、お酌くらいしてやるよ」






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