笑う門には福来たる!!
死んで花実が咲くものか
八木さんの娘が亡くなった



誠十郎の許嫁だったお澄

葬儀は、嫁ぎ先で行われた




葬儀には、誠十郎も参加した



浪士組にその知らせがあったのは

すべてが終わった後



「あいつ、大丈夫かなぁ」


夕餉の時、永倉が独り言を言った


言わなくても、あいつが誰か見当がつく


「僕、明日訪ねてみます!!」

「そうだな!総司、そうしてやりなさい」


近藤に賛同してもらい




沖田は、翌朝

中垣呉服の暖簾を潜る


「誠十郎お願いします」

「すみません…
何だか仕事小屋に籠もってて…
食事も食べないんです…」

誠十郎の母が心配そうに、沖田に説明する

「会えそうにないということですか?」

「中から鍵がしてありまして…
それに、仕事の時も人を入れないので」

「そうですか… 
沖田が来たと伝えて下さい」

「わかりました」



その日から、しばらく雨が続いたが

毎日、仕事の合間に沖田は通った


「まだ、出てこないんですか?」

「出て来ては、すぐ戻るんです
一日一回のおにぎりだけです
倒れやしないかと…心配で」


「総司」

「誠十郎!!一体、どうしたんだよ!!」

「ちょっと、作り物してたんだ
今から、原田さんの所に行こうかと…」

「へ?何で左之さん?」

「いいから!!早く行こう!!」

「ちょっと!!誠十郎!!」

「いってきます」

「…いってらっしゃい」

文句の一つも言おうとした、母も

誠十郎の勢いに負けた











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