王子な秘書とシンデレラな御曹司
その行動と小堺さんとの会話の意味がわからない
ってゆーのか!
キスした?
さりげなくキスしましたか?
思わず自分の唇に手を当てていると
「傷は大丈夫ですか?」
心配顔でそう言った。
「あ、大丈夫ですけど……手を洗ってきます」
状況がよくわからない
頭を冷やすのに部屋を一度出よう。
「消毒してきて下さいね」
「はい。フロアの給湯室に小さな救急箱があるから大丈夫です」
「痛みがあるなら、僕が病院に連れて行きますから」
真剣に言うのが怖い。
すり傷で救急車呼びそうな気配を感じる。
私は頭を下げて部屋を出ると
入れ違いに興奮気味なシステム部の小堺さんが、走って部屋に入る。
小柄な身体でネズミ顔だけどその頭脳はハンパなく賢く、オタクの知識も豊富でコーヒー好き。
うちの副社長と仲良し。
部屋の中で盛り上がってる。
何があったんだろう。
とりあえず傷の処置をしながら、給湯室にある鏡で自分の顔を確認。
目が真っ赤。
取り乱して大泣きしてしまった。
辞表を書くようなミスをやらかしてしまっても、副社長は笑ってた。
喜んでミッション完了って
何?
そしてキスって……何?