王子な秘書とシンデレラな御曹司

ヤル気スイッチのおかげか
仕事も認められてきた。

俺様御曹司の30歩後ろを歩いていたけど
20歩ぐらいに近づいたかも。

「どうぞ」

副社長は私にマグカップを渡し、自分のカップを持って席に着く。

染めてはいないけど
蛍光灯の下で茶色く見える柔らかそうな髪。
書類を真剣に見る横顔は
スッとした鼻筋が通り長いまつ毛が魅力的。
目は色素が少しだけ薄いのか茶色の瞳がふんわり柔らかい印象を与えている
長い指が書類の上を滑り修正テープを持ち直す

その物腰と優しい笑顔で
女子社員の人気も上がってるけど

「あっ……あっ!ああああっ!」

「どうしました?」

「修正テープがズレてきて、透明なセロファンがビヨーンって……竹下さんこれどうしましょう!どうしてセロファンだけ……うわぁ急に白いの出てきて机の上に白い線がっ!」

修正テープと闘って負け
半泣きになってる事実をみんな知らない。

あぁやっぱり情けない。




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