王子な秘書とシンデレラな御曹司
俺様副社長と秘書課の風当たりは強い。

打ち合わせとか業務連絡など
忘れたふりをされる事もしばしばである。

昨日なんて
部屋のドアの前に
会議用の大きな机がドーンと置かれていたし

市橋理香に文句を言うと

『あらごめんなさい。人が入ってるのを忘れていたわ』って笑われたし。

ちくしょーーー!
クロワッサンな髪形でエラそーに。

ゴシゴシと副社長の机の上で
はみ出した修正テープをこする手に力が入ってしまう。

「僕がやりますから」
怯えた声を出されて我に返る。

「すいません」
素直に謝り自分の席に戻ると

「いいんです。今日の会食は少し早く出なきゃいけないですよね」
思い出したように副社長が言った。

そうそう。
今日の会食はとっても大切なもので
財界のお偉いさんが集まる席。
社長も弟さんである俺様副社長も出席するはずだ。

副社長になって
ここ一番の大切なお仕事ともいえる。

どうにか
売り込んで欲しいなぁ。

「車の手配はしてますよね」

「はい。完璧です。大事な会食なので昨日のうちに話をつけております。12時半からの会食なのでこちらを1時間前の11時半に出る予定です。運転手さんが時間通りに表玄関に車を回します」

「ありがとうございます。そうすると……やっぱり企画二課の課長とのお話は午後からにしましょう。まだ時間ありますね……敏明に話を聞きたい内容があるので、行って来ます」

副社長は腰も軽く立ち上がり
コーヒーを飲み干して足早に部屋を出る。

大事な会食でミスしませんように。

なんだか急に胸騒ぎがして
私は机の上の電話に手をかけた。
< 47 / 245 >

この作品をシェア

pagetop